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小惑星Phaethonによる掩蔽現象の遠征観測に参加

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Occultation map 2025-09

小惑星(3200)Phaethon (「フェートン」「ファエトン」などと表記)による掩蔽現象の観測に秋田谷 洋 天文学研究センター上席研究員(惑星探査研究センター併任)が参加しました。

小惑星Phaethonは、JAXA/宇宙科学研究所や千葉工業大学惑星探査研究センターが中心となって推進している深宇宙探査技術実証機 DESTINY+の探査対象です。探査機が確実に小惑星を訪れてその姿を捉えるためには、地上からの観測で予め小惑星の大きさや形状を調べておくことが重要です。そのための優れた手段が「掩蔽現象」の観測です。小惑星が偶然、遙か遠くの星(恒星)の手前を横切ると、星の光が一瞬だけ隠されます。そのとき、地球上には小惑星と同じ大きさ・形の影が落ちて移動していきます。その原理を利用し、星の光が隠される時刻・時間を様々な観測地で正確に測ることで、影の形、すなわち小惑星そのものの大きさと形状を知ることができます。Phaethonについては、以前から掩蔽現象の機会が訪れるたびに観測キャンペーンが実施され、成果を挙げています(詳細は文末にある「過去のPhaethonによる掩蔽現象の観測記事」を参照)。

さて、2025年9月19日深夜2時頃に伊達市・登別市を含む北海道の帯状の地域で、小惑星Phaethonが13等級の星を隠す掩蔽現象が起こることが予報され、今回も観測キャンペーンが企画されました。これに対して多数のアマチュア天文家や天文・惑星科学研究者が応じ、北海道内の13地点に散らばり観測を行いました(観測地点の分担地図)。

秋田谷も伊達市近郊の海沿いの地点に望遠鏡を持ち込み観測に臨みました(写真1)。夜半前には望遠鏡を天体に向けて準備を整えましたが、晴れ間が多いものの、ときどき大きな雲が横切る不安な空模様でした。結局、薄雲がかかったためか、カメラに映る天体の姿が淡くなり、減光の有無を確認するのが難しいデータとなってしまいました。他の観測地点の観測者も天体の暗さと雲の通過に悩まされ、画像の解析に苦労しているようです。一方で、場所によっては明確な減光を捉えたという報告も出ています。これから慎重なデータ解析にを経て、観測キャンペーン全体の最終結果がとりまとめられる見込みです。

観測前には、だて歴史の杜カルチャーセンターにおいて​第五回掩蔽観測ワークショップを開催しました(写真2)。掩蔽観測に関連する研究課題や技術について議論を交わし、夜の観測キャンペーンに向けた最終打ち合わせを行いました。

本キャンペーン観測は、IOTA/EA(国際掩蔽観測者協会東アジア)JAXA/宇宙科学研究所 深宇宙探査技術実証機 DESTINY+千葉工業大学惑星探査研究センターの支援を受けています。

(写真1)(左) 観測準備を整えて現象時刻を待つ。(写真2) (右) 掩蔽観測ワークショップの講演風景。

関連リンク

過去のPhaethonによる掩蔽現象の観測記事