常田所長 アルテミス計画のLDA開発チームを訪問
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常田所長は、6月24日、東京大学を訪問し、宮本英昭 教授が主導するLDA (Lunar Dielectric Analyzer) の開発状況について説明を受け、月面資源探査やアルテミス計画について意見交換を行いました。
LDA (Lunar Dielectric Analyzer) は、NASAのアルテミス計画で宇宙飛行士が月面で使う測定装置です。日本主導の月面科学・資源探査機器です。2024年に NASA がアルテミス計画の宇宙飛行士による「Deployment Instrument」として採択しました。
人類が月面で持続的に活動するためには、「月面のどこに、どれだけ、どのような形で水資源が存在するか」を把握することが極めて重要です。LDAは、誘電率 (dielectric permittivity) を測定することによって地下の物理状態を非破壊で評価する新しい手法を提供し、LUPEX のような水の直接探査と相補的な役割を担います。NASA がアルテミス計画初の有人月面探査ミッション用にこの装置を選定したことは、月資源探査における誘電率計測の重要性が高く評価されたことを示しています。
誘電率とは、物質が電場に対してどのように応答するかを表す物理量です。誘電率は、土壌の密度、空隙率 (ポロシティ)、水氷の存在、地下構造、温度などに強く依存します。LDA は、地下を掘削することなく浅部の状態を推定できます。
写真1: LDA のモックアップを前に。軽量小型のため月面で宇宙飛行士が容易に持ち運べる。(東京大学 宮本研究室にて)
LDA は月面に設置されると、電極から微弱な交流電場を地面へ印加し、その応答から誘電率などを測定します。LDA は月レゴリス (表土) の誘電率を異なる温度環境で継続的に測定することができます。
氷は岩石と比べて誘電率の温度依存性が大きく異なるため、誘電率を精密に測ることで「ここには氷が混ざっている可能性が高い」という判断ができます。宮本先生によると LDA は以下の目的を掲げています:
- 世界初のin-situ (その場) での誘電率を計測する
- 誘電率計測に基づく地下浅部の密度構造を推定する
- 地下浅部に存在する水氷を検出・定量する
アルテミス計画最初の月着陸の機会に、宇宙飛行士が LDA を適切な場所へ運び、設置後は小型の自律観測基地として長期間データ取得を行います。LDA は日本が科学 PI (Principal Investigator) を務める現状で唯一の、アルテミス宇宙飛行士による月面展開科学機器となります。
宮本研究室で、LDA について詳細な説明を受けた後、これまでの観測成果を踏まえた月面水資源の存在可能性、VIPER および LUPEX への期待、将来の月面アーキテクチャ、各国の月探査・月面開発の動向などについて幅広く意見交換を行いました。最後に、「人類はなぜ再び月へ向かうのか」という根本的な問いについて議論し、訪問を締めくくりました。
写真2: 宮本研究室の皆さん。左から、竹村 特任研究員、小林 特任研究員、宮本 教授、清水 助教。

